2019.05 ノートのタイトルを「裸眼フレア」から「肉眼グレア」に変更。

マツゲカメラ発見

ある日、面白い研究を見つけた。 Glare Generation Based on Wave Optics

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「波動光学に基づくグレア効果生成」、でいいのかな。2005年の記事。 難しい事書いているけど私にとって衝撃だったのはこの、カメラにマツゲつけちゃいました画像 。 冗談のようなやり方で、ちゃんと肉眼で見えるグレアが再現されている!ずっと探していた答えがここにあった。絶対楽しいでしょこんな道具。

で、やってみた。

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完成!

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たのしい。

上記の研究では、ここからシミュレーションによる再現へと進む。

のだけど、私の興味は、実際に肉眼で見えるグレアの美しさ、仕組みや関わる要素、また得られたエフェクト自体の構造と性質などにある。 あと、最終的に仕事に応用出来たら良いなという下心。

マツゲカメラ(勝手に命名)で撮ってみた画像は、実際に裸眼でみえるものとまだ随分差があるように思える。 なのでまずは、マツゲカメラに映らなかった要素を含め、実際に裸眼で観察した内容をまとめていきたい。

肉眼グレアの観察

  • 観察の手順
    1. 片目を手で隠す
    2. 光源を見る(眼を傷めないよう注意)
    3. 周囲が明るい場合、光源を隠さない程度に空いた手をかざす
    4. 目をすがめたり、顔の向きを変えたりして、グレアの変化を観察する。
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肉眼グレアは両目それぞれ別個に起こるので、両眼視では形を掴み取り辛い。そこがまた幻想的なんだけど。なので片目ずつ使う。 目をすがめたり開いたり、上目遣いや横目で見てみる。現れては消える光の筋。全体に虹色掛かっている。涙をためてみても別の面白さが出る。

また、主にまつ毛の影響で起こるエフェクトなので、まつ毛なし状態との比較も行うとよい。

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この時、まぶたやまつ毛での光の削減が期待できない。あまり強い光源はつかわない事。ちゃんと眼を休めること。 うまくやると、まつ毛によらない同心円の光条もうっすら確認できる。(どうやら瞳孔が滑らかな穴でない事に起因するものらしい)

例えば夜、信号待ちの間、片目を覆い、片目を手でガッて広げて街灯を見つめてみる。 去年の新橋あたりでこういう人を見かけていたら、それは私です。

観察されるエフェクト

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  • 光条
    • 光源色+虹色のヘアライン。先へ行くほど曲がっている。
    • 主に4方向に伸びることが多い。
    • 上下は短いヘアラインの束、左右は長い束。束はより小さい束の集まり。
    • 束それぞれの方向は微妙にズレて重なり合っている。
    • どこからどこまで1本に繋がっているかよく見えない。
    • よく見ると、一斉に切れている個所などある。
    • 光源の位置によって様々に変化する。
    • 写真用語でいうオーブのような丸。
    • 円内は光源色+虹色。虹は丸くゆがんでおり、向きもあまり揃っていない。
    • 視界下側に多い
    • オーブというより魚のウロコに似ている。
    • 光条の途中に、豆形の似たようなものがある?
  • その他(光条とは関係なさそうな要素)
    • まぶたの影
      • 強いボケ味、下まぶたは肉の薄桃色が見えることも。
    • まつ毛の影
      • 強いボケ味。壁や空など明るい背景の時に見えやすい。
    • 涙による反射や像のゆがみ
      • 溜まった涙は視界下部を歪ませる。
      • 下まつげに残った涙は、独特な角状になる。

虹のスペクトルの向きはバラバラで、今一つ確定できない。うまく観察できていない。 気になっているのは、円状のウロコエフェクト。ホコリやフケなどではないと思う。ないと思う。

ここに目や光源の動きが加わるとぐっと複雑に、捉え難くなる。 光条と虹は、別個の基準で動いているように見える。(回折とか干渉と言われればそうなんだろうけど、そのパターンを捉えたい。)

今後どうしたいか

  • 調べたい事、まとめたい事
    • エフェクトの起こる仕組み
    • カメラレンズ&フィルタ効果との関連
    • 演出に応用できそうな特徴
  • 課題
    • もっと観察
    • もっと丁寧なスケッチ
  • ゴール
    • Photoshop,AfterEffects等でのエフェクトの再現。

カメラレンズのフレアは、「炎天下」といえば絞りのゴーストだったり、SFといえば横一文字だったり、映像表現の上で記号として使えるほど親しまれている要素だ。 しかし例えばファンタジー世界に一眼カメラはまずないだろうし、室町時代にアナモルフィックレンズもない。指針なく演出すると、「水戸黄門に電柱」的なおかしな事になりかねない。 裸眼で見られるフレアを模するというのは、そんな時大いに役立つと思う。

また既存の表現、アニメの手書きフラッシュ光の動きとか、酔っ払いの主観で二重に見える風景とかも、眼の構造や動きで説明できるものがあるように思える。説明できれば作り込みや応用発展が期待できる。

とりあえずは、もっとよく観察したい。あと絵ぇもっとどうにかしたい。